広大な自然、美味しい海産物など魅力いっぱいの北海道は、移住先として人気のある都道府県ですが、「移住したら後悔した」という話も聞きますよね。
この記事では、北海道に移住して後悔したという声を調査し、その理由をまとめています。また、北海道移住を後悔しないための対策も解説していますので、ぜひ、北海道移住を考える際の参考にしてくださいね。
北海道移住で後悔した理由とは?
それでは早速、北海道移住で後悔した理由を、環境面、生活面、仕事面、人間関係という4つの視点から解説します。
環境に関する後悔
環境に関する後悔は、まとめると4つあります。
- 寒くて、積雪量が多い
- 雪かきが大変
- 夏は30度超え
- 野生動物に注意が必要
1つずつ詳しく説明します。
寒くて、積雪量が多い
1つ目は、想像以上に寒くて、積雪量が多かったという点です。
北海道は平均気温が低いということはよく知られていますが、対策をして行かないと、思った以上に冬の寒さが辛いと感じてしまうことが多いようです。
実際どれくらい寒いのか、東京と比べてみましょう。下のグラフは、旭川、札幌、富良野の3つの地域と東京の気温を比べたグラフです。
このグラフを見ると、北海道はどの地域も、東京より気温が低いことが目に見えて分かりますね。北海道は、内陸になるほど気温が低く、積雪量も多くなります。そして、これはあくまでも平均気温です。最低気温となると、もっと低くなります。
例えば、2024年1月20日(土)は、「大寒」といわれる1年で最も寒いと言われる時期でしたが、江丹別で-28.5℃、札幌でー9.3℃、旭川でー19.3℃、網走で-15.0℃の最低気温を記録しています。地域によっては、-20℃近い日が毎日のように続きます。
このように、北海道は非常に冷え込むので、これまで経験したことのない寒さで辛かったという後悔の声はとても多いです。
また、積雪量は新潟ほど多くはありませんが、それなりに積もります。北海道内でいちばん積雪量の多い幌加内町では、2018年に324cmの雪が積もりました。3mも積もったら、家も半分埋もれてしまいますね。
逆に積雪量が少ない地域でも、気温が低いので、雪がなかなか溶けにくいです。そのため、こんなに雪に苦労するとは思わなかったという声も多いです。
雪かきが大変
2つ目は、雪かきが思った以上に大変だったという点です。
先ほど説明した通り、地域によっては多くの雪が降り積もります。北海道では雪かきは必須です。
雪は想像以上に重いです。また、北海道は気温が低いのでなかなか溶けません。雪かきがこんなに大変だと思わなかったという後悔の声は、とても多くあります。
また、通勤に使う道であったり、子どもの通学路、習い事への道など、移動先への道中は雪による影響を受けやすいかどうかを調べておけばよかったという声もありました。
夏は30度超え
3つ目は、涼しいと思っていた夏が、30度超えでとても暑かったという点です。
夏は涼しいというイメージの北海道ですが、実際は東京と同じくらい気温が上がります。下のグラフは、東京と札幌の2021年の夏の最高気温を比べたものですが、ほとんど変わらないことが分かりますね。
出典:nippon.com
20年以上前の札幌は、東京よりも夏の最高気温が低く、涼しさを感じることが多かったのですが、最近はこのように、東京と変わらないくらい夏は暑い日が続きます。
そのため、夏は涼しく過ごせると思って移住した人が、こんなはずではなかったと後悔することが多いようです。
野生動物に注意が必要
4つ目は、野生動物に注意が必要で大変だったという点です。
北海道では、国道沿いでも野生動物が見られるくらい、野生動物と出会うことが多いです。そして、車と野生動物の衝突事故、鉄道に野生動物が入ってしまい遅延するといったことが、度々起こります。
そのため、北海道では野生動物に気を配るというのは常識です。しかし、それを知らずに移住して、野生動物の対応に苦労したという後悔の声がありました。
キツネやリスといった小動物を見かけるくらいなら、「可愛いな」で済みますが、車で道を走っていて、突然出てきた野生動物とぶつかってしまったら嫌ですよね。中でもシカは、本州にいるシカよりも体が大きいです。シカに体当たりされて車がへこんでしまったという話もあるので、注意が必要です。
生活に関する後悔
次に、生活に関する後悔です。まとめると5つあります。
- 配達日数がかかる、送料が高い
- 冬の光熱費がかかる
- 車がないと不便
- 他県への移動が大変
- 産婦人科や小児科が少ない
1つずつ詳しく説明します。
配達日数がかかる、送料が高い
1つ目は、ネットショッピング等で購入した荷物を届けてもらう際、配達日数がかかる上に、配送料が高かったという点です。
北海道では、東京のように、ネットショッピングで購入した商品がすぐには届きません。速くても2~3日以上かかるのが普通です。しかも、送料が別途設定されていることが多々あります。「配送料無料(北海道など離島エリアは除く)」といった文言を見かけたことがある人もいるのではないでしょうか。
そのため、普段からネットショッピングを使っている人、特に翌日受け取りに慣れている人にとっては、大きなデメリットになり、後悔したという声が多くありました。
他にも、ゆうパックやクロネコヤマトなどを利用した際も、高くなります。例えば、60サイズの荷物を東京から大阪へ配送を頼んだ場合、ゆうパックでは990円、クロネコヤマトでは1,060円です。それに対し、東京から北海道へは、それぞれ1,410円、1,460円かかります。
冬の光熱費がかかる
2つ目は、冬の光熱費が思った以上にかかったという点です。
冬の寒さが厳しい北海道では、光熱費が高くなってしまいます。実際のデータを見てみましょう。例えば、年間灯油支出金額を比較すると、全国平均が14,784円なのに対し、札幌市は74,427円とおよそ5倍になっています。(参考:家計調査(二人以上の世帯)品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市|総務省統計局)
北海道は、3月や4月も気温が低めなので、暖房を使うことが多くなります。1年で暖房を利用している時間が長い上、寒さが厳しい冬はどうしても暖房代がかさみます。
そのため、北海道での光熱費は高くなると予想していたけれど、予想以上に高くなってしまったという後悔の声が多く見られました。また、最近の北海道は夏が暑いので、冷房を使いますよね。そういった理由もあって、1年間の光熱費の支出は想像以上になるようです。
車がないと不便
3つ目は、どこへ行くのも車がないと不便だったという点です。
広大な土地の北海道では、札幌などの都市部を除き、お店や病院といった施設の距離が少ないうえに、距離も離れています。どこへ行くにも遠いのです。中には、食料調達に出かけるだけでもとても時間がかかって大変という地域もあります。
また、公共交通機関も、札幌などの都市部以外は、あまり充実していません。1日に数本しかバスが通らない地域や、そもそもバスや電車がない地域も多く存在します。駅が近くにあったとしても、冬は雪で電車が止まったり遅延したりすることも多いです。
このような事情から、北海道では車が必須で、移動には時間がかかるというデメリットがあります。車を持つためには維持費もかかります。こうしたことが、便利な地域に住み慣れている人にとって、後悔する理由になってしまったようです。
他県への移動が大変
4つ目は、北海道から出て他県へ移動するのが想像以上に大変だったという点です。
ご存じの通り、北海道は本州とつながっていません。そして、車での移動ができません。北海道と本州を行き来するには、空を飛ぶ飛行機、青函トンネルを走る新幹線、そして海を渡るフェリーの3通りの方法から選ぶ必要があります。
いちばん利用されているのは、早くて料金も手頃な飛行機です。東北地方であれば新幹線を選ぶ人も多いです。
しかし、他県へ旅行や観光に行くために、必ず飛行機や新幹線を使わなければいけないというのは、大変ですよね。日帰りで観光や遊びに行くのは困難です。また、北海道は広いので、地域によっては空港や駅まで移動するのに、時間や費用がかなりかかってしまいます。
そのため、簡単に他県へ移動できないことがストレスになってしまい、後悔したという声がありました。
産婦人科や小児科が少ない
5つ目は、産婦人科や小児科が少なくて苦労したという点です。
北海道では、地方になればなるほど、産婦人科や小児科がとても少ないです。中には、病院まで100㎞近く移動しなければならない地域もあります。
産気づいている妊婦さんや、体調を崩して辛そうな子どもは、一刻も早く病院に連れていきたいですよね。そのため、病院ができるだけ近くにある地域に住むことを選ぶ人が多いです。
すると、数少ない病院に多くの人が集まってくるので、病院での待ち時間はかなり長くなってしまいます。妊婦さんや子供にとって、長い待ち時間は辛いものです。
このように、産婦人科や小児科が少ないために、受診に苦労してしまうことが多くてストレスだったという後悔の声がありました。
仕事に関する後悔
次に、仕事に関する後悔です。まとめると2つあります。
- 給料が安い
- 仕事探しが難しい
1つずつ詳しく見ていきましょう。
給料が安い
1つ目は、他県に比べて給料が安いという点です。
「令和4年賃金構造基本統計調査 都道府県別」によると、北海道の平均賃金は267.7万円で35位でした。全国平均の311.8万円と比べると、44.1万円低い結果となりました。
暖房代、冷房代といった光熱費がかかるので、給料が安いと、生活にゆとりがなくなってしまいます。また、車が必須の地域に住んでいれば、車の維持費も必要になります。
このように、給料が低いのに生活費がかかるため、生活が厳しくなってしまったということが後悔の理由になったようです。
仕事探しが難しい
2つ目は、北海道の中で通える仕事を探すのが難しかったという点です。
「都道府県別有効求人倍率」によると、2023年12月の有効求人倍率は、全国平均1.27に対して北海道は1.05と、低い数値になっています。これは、全国ワースト7位です。
有効求人倍率は、高ければ高いほど就職しやすいと言われているので、北海道は数値で見ると、就職しにくい環境だということが分かります。
実際に移住した人の声の中にも、「なかなか仕事が見つからなかった」「知り合いも仕事探しに苦労していた」という話が多く見られました。
また、「転職サイトdoda」にて求人数を調べてみると、2024年2月現在、東京は98,346件に対して、北海道は7,859件でした。
東京の転職求人数は、北海道の約12倍です。つまり、北海道の転職求人数は、東京の10分の1以下にも満たない状況です。北海道の人口は東京の2分の1くらいですので、圧倒的に求人数が少ないといえます。
こうした状況から、北海道でなかなか仕事を見つけることができずに苦労したという後悔の声がありました。
人間関係に関する後悔
最後に、人間関係に関する後悔ですが、まとめると2つです。
- 積極的なコミュ人ケーションが必要
- お節介な人、保守的な人がいる
1つずつ詳しく見ていきましょう。
積極的なコミュニケーションが必要
1つ目は、自ら積極的にコミュニケーションをとっていく必要があって苦痛だったという点です。
移住に関する感想を調べると、「近所や地域の人たちと仲良くなったり助けてもらったりしたからこそ、移住が成功した」という話をよく見かけます。
あまり人付き合いをしなくてもなんとかなってしまう都心とは違い、地方では人付き合いを大切にする傾向があります。中には、その地域ならではの決まり事や人間関係が重視されているところもあります。今までの生活スタイルや考え方が通用しないことが多いです。
そのため移住先では、人付き合いを無視して生活することはできません。人付き合いを無視してしまったら、その地域に馴染むことができず、結果的に移住をあきらめることになりかねません。
自らコミュニケーションをとって地域に馴染んでいくことが大切なのですが、それがストレスになってしまった、という後悔の声がありました。
お節介な人、保守的な人がいる
2つ目は、お節介な人の対応に苦労した、保守的な人がいてうまく馴染めなかったという点です。
北海道への移住だけでなく、様々な地域で「お節介な人」と「保守的な人」がいて人間関係を築くのが大変だったという声は多くありました。
移住してきた人を歓迎したい、早く馴染んでほしいという思いから、頻繁に家に訪ねてきたり、物を渡してきたり、声をかけてきたりする人がいます。こうした人を、お節介だと感じてしまう人もいるでしょう。
地域によっては、こうしたコミュニケーションが当たり前のところもあります。近所の人たちとはまるで家族のように親しくしているという地域もあります。
また、逆に、移住者に対して保守的な態度をとる地域もあります。その地域ならではの決まり事や風習を軽んじてしまい、避けられてしまったというような話もあります。
こうした、新しい人間関係を苦痛に感じ、移住をあきらめてしまったという声がありました。
後悔しないための対策とは?
これまでの話で、北海道移住を後悔した理由は様々あることが分かりました。しかし、誰もがこうした後悔をするわけではありません。実際、北海道移住を楽しんでいる人もたくさんいます。
なぜ移住を楽しむことができたのかというと、そこには明確な理由があります。
それは、移住を後悔しないための対策をとったことです。これまで話してきた後悔した理由をしっかり理解して、後悔しないように準備をしていくことが大切なのです。
中でも、準備しておいて正解だったという声をまとめると、4つあります。
- 住まい選びは慎重に
- 寒さ対策、雪への対策をしておく
- お金に関する計画を立てておく
- デメリットを理解しよう
1つずつ詳しく説明します。
住まい選びは慎重に
まず1つ目は、住まい選びを慎重に行うことです。
北海道では、住む地域によって冬の気温や積雪量が異なります。最低気温や積雪量を調べて、自分が寒さや雪の対策ができる地域を選ぶとよいでしょう。
また、交通機関や病院、学校などが充実しているかどうかもポイントになると思います。交通機関が充実していて、病院や学校も多いところだったら、札幌市を選べば間違いありません。車を所持していて、移動時間がかかっても問題なしであれば、選択肢は増えます。
自分の生活スタイルをシミュレーションして、後悔のない住まいを見つけてください。
寒さ対策、雪への対策をしておく
2つ目は、冬の寒さ対策、雪への対策を万全にしておくことです。
北海道は冬の冷え込みが厳しいので、備えが必要です。防寒着や暖房器具を用意する以外にも、例えば、住宅を選ぶ際に日当たりのよいところにしたり、断熱効果の高い作りの家を選んだりするということが考えられます。
北海道では雪かきが必須です。公道では除雪車が走りますが、公道から自分の家の前は、自分たちで雪かきしなければなりません。家の前に雪がたまりやすいような環境は避けたほうがよいでしょう。
また、自分の通勤経路や買い物に使う道、子供の通学路や習い事の行き帰りで使う道など、生活に使う道について下調べをしておくとよいでしょう。
お金に関する計画を立てておく
3つ目は、お金に関する計画を立てておくことです。
北海道は、給料が他県に比べて低めであるにもかかわらず、光熱費が多くかかります。そのため、お金の計画を事前に立てておくことをおすすめします。
北海道で生活するためには、防寒着や防滑靴、暖房器具、灯油代、雪かきの道具、スタッドレスタイヤといった、寒い地域ならではの出費が考えられます。また、住む場所によっては、車の維持費や交通費もかかります。
ゆとりのある生活がしたくて北海道に来たのに、逆に生活費が足りなくて苦しくなってしまった、ということがないように、しっかりとシミュレーションをしておきましょう。
デメリットを理解しよう
最後の4つ目は、北海道移住のデメリットを理解しておくことです。
北海道移住を後悔した理由から、様々なデメリットがあることが分かりましたが、これらをしっかりと把握して心の準備をしておくことで、「こんなはずではなかった」という後悔がなくなります。
また、お試しの移住をしてみるのもよいでしょう。実際に行って生活してみることで、新たなメリット、デメリットに気付けるかもしれません。
まとめ
今回は、北海道移住を後悔した理由について、環境面、生活面、仕事面、人間関係という4つの視点から解説しました。
北海道では、北海道ならではの寒さや積雪量が原因の後悔が特に多く見られることが分かりました。また、給料が他県よりも安い傾向にあり、仕事を見つけにくいというデメリットがあることも分かりました。
しかし、こうしたデメリットをしっかり把握し、事前に対策を練っておくことで、移住成功の道が開けます。
ぜひ、今回の記事を参考にして、下調べをしっかり行い、北海道移住を成功させてくださいね。